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生まれは「ヨーロッパっ子」(一橋大学改革から)

 この前聴いた一橋大学副学長の講演、特に次のところは面白かった。かいつまんで言うと一橋は開学から一貫、グローバル人材の養成を目指すのが理念なのだが、今、「モットーは国境越え」。つまりは大学自前のちっぽけなガタイのなかでチマチマやるのではなく、世界の大学と学生を行き来させ、互いのキャンパスを学びの場にして育てる企み。

 ちなみにヨーロッパは国境を簡単に越えれば外国だから若者に「何人?」と聞くとフランス人、ドイツ人と言う前に「ヨーロッパっ子」と答えるという。たとえば副学長のゼミに居るイタリア人留学生に生まれを尋ねると「まず、ヨーロッパっ子、二番目にトリノっ子(トリノ出身だから)、三番目にイタリア人」。なんて魅力的で、自由な自己存在の表現だろう。

 イタリアのボローニャ大学には、母校以外のEU圏の2つの大学に入って、2つの言語を学んで単位を取らねば母校から卒業できないがカリキュラムがある。こんな経験のなかから学生はゆっくりと専門を絞っていく。

 こうした相互留学を支えるのは①大学の間での教育レベルの標準化(学生代えっこしやすいようISOみたいな教育の国際標準つくってその元で各大学のカリキュラム組もうな)、②互換単位制(わらじを履いた先でとった単位を同時に母校の単位としような)。一橋もこれを開発すべく諸外国の大学と発奮中。いいね、ホントのスローラーニング(slow learning)。しかし、大学だけに任せておいたらもったいない企みである。

[2014.11.12]