サービスはこころでする

現場体験学習はこう創る!(武蔵野市)

 亜細亜大学で全学共通科目教職課程「商業研究」を担当。高校商業の教員養成を目指し、2014年後期は次のステップで進めている。

簿記の発展として財務分析の基本を指導。簿記技術を教えるだけでなく「何のために使うのか」を指導できる教員になれるように。

小金井市に本社をもつ「スタジオジブリ」を取りあげた現場体験学習。まず教室でスタジオジブリの財務諸表を教材に①の手法で会社の会計的評価を。さらに三鷹の森ジブリ美術館に出かけ、国内外から集客するサービスの現場をマーケティング的に評価。以上から宮崎監督の引退でその後を喧伝されるスタジオジブリという企業の存在価値について学生なりの考えをもたせる。

大学の地元、武蔵境の農園で「みんなで育てた唐辛子大収穫祭」にボランティア参加。農業生産者、企業、市民などがなんのためにイベントをやったかに考え、自分のご縁ネットワークも創る。

体験から、亜細亜大学のまわり(武蔵野市西部地域)に「これが欲しかったんだよ」とみんなが思えるサービスを企画・発表する。

 現場体験学習は学生とまちとの予期しない出会いの連続から始まる。だから指導案は途中まで。流れは本ウェブサイト「社会哲学」で紹介したジブリアニメづくりと同じだ。教員が創るのはポイントを描いた何枚かの絵コンテ。後はそれを見た学生が連想を膨らませ、参加者との共鳴から「創りたいヒトが創りたいものに向かってにじりよっていく」プロセスで学生自身が「おしまい」を創る。ホンモノの先生になったときこういう離れ業もできるようになって欲しい。教員と中小企業診断士のハーフにしかできない仕事をこころっとコンサルティングはやっていく。

[2014.11.26]

 

バカっぽい一途さで子は育つ

バカっぽい一途さで子は育つ

 1116日、如水会館で行われた一橋大学同窓会である如水会創立百周年記念パーティーに参加した。会合をいつもながら、一番盛り上げるのは大学応援部の演舞。みなさんは応援団というのをそもそもご覧になったことがあるだろうか。

 彼らが創りだすのは一種トランスの状態である。あまりに力が入って顔は真っ赤、ときにおサルかひょっとこのような形相ものともせず、大学を鼓舞し、ひたすら歌い舞う。

 そうするうち、最初はのんびりと彼らを眺めていた学長も、理事長も、OB諸氏も、現役学生も摩訶不思議な昂揚感に巻き込まれ、手も壊れよと手拍子の嵐。応援部は体育会の試合や大学祭の一瞬のために夏休みを返上し、練習を重ねるのだが、そのやっていることは実にバカっぽいと言わざるを得ない。否、彼らの名誉のために正しく言えば、不可思議な技を先輩から伝承すべく夢中になってやるバカっぽい一途さが会場をどよめかす。

 そして、彼らは普通に勉強した学生よりときにいい社会人になる。ヒトのこころの機微がわかる彼らの先輩を見るにつけそう思う。なんでもいい。学生時代に夢中になれるものがあるのはすばらしい。

[2014.11.19]

 

生まれは「ヨーロッパっ子」(一橋大学改革から)

 この前聴いた一橋大学副学長の講演、特に次のところは面白かった。かいつまんで言うと一橋は開学から一貫、グローバル人材の養成を目指すのが理念なのだが、今、「モットーは国境越え」。つまりは大学自前のちっぽけなガタイのなかでチマチマやるのではなく、世界の大学と学生を行き来させ、互いのキャンパスを学びの場にして育てる企み。

 ちなみにヨーロッパは国境を簡単に越えれば外国だから若者に「何人?」と聞くとフランス人、ドイツ人と言う前に「ヨーロッパっ子」と答えるという。たとえば副学長のゼミに居るイタリア人留学生に生まれを尋ねると「まず、ヨーロッパっ子、二番目にトリノっ子(トリノ出身だから)、三番目にイタリア人」。なんて魅力的で、自由な自己存在の表現だろう。

 イタリアのボローニャ大学には、母校以外のEU圏の2つの大学に入って、2つの言語を学んで単位を取らねば母校から卒業できないがカリキュラムがある。こんな経験のなかから学生はゆっくりと専門を絞っていく。

 こうした相互留学を支えるのは①大学の間での教育レベルの標準化(学生代えっこしやすいようISOみたいな教育の国際標準つくってその元で各大学のカリキュラム組もうな)、②互換単位制(わらじを履いた先でとった単位を同時に母校の単位としような)。一橋もこれを開発すべく諸外国の大学と発奮中。いいね、ホントのスローラーニング(slow learning)。しかし、大学だけに任せておいたらもったいない企みである。

[2014.11.12]